「なんとなくまとまりがない」「植えたのに庭が美しく見えない」という悩みの多くは、デザインの基本原則を知らないまま進めてしまうことから生まれます。ランドスケープデザインには、長年の実践から生まれた考え方の枠組みがあります。難しい資格は必要ありません。まず三つの原則を知るだけで、庭を見る目が変わります。
バランス:左右対称と非対称の使い分け ¶
バランスには「対称(シンメトリー)」と「非対称(アシンメトリー)」の二種類があります。玄関アプローチの両側に同じ樹木を植えるのが対称の典型例。整然とした印象を与えますが、日本の住宅では敷地の形状が左右対称でないことが多く、無理に対称にしようとすると不自然になります。非対称のバランスは、視覚的な重さを揃えることで成立します。大きな石一つと、小さな低木三株は、重さが釣り合えばバランスが取れます。
リズム:繰り返しと変化で視線を誘導する ¶
庭のリズムは、同じ素材・形・色を一定の間隔で繰り返すことで生まれます。飛び石を等間隔に並べる、同じ樹種を三本植える、同じ高さの低木を列植するなど。ただし、完全な繰り返しは単調になります。三つに一つだけ高さを変える、素材を途中で切り替えるなど、「変化」を加えることでリズムが生き生きとします。日本の伝統的な庭園が「間(ま)」を大切にするのも、このリズムの考え方と深く関係しています。
フォーカルポイント:視線が自然に向かう場所をつくる ¶
フォーカルポイントとは、庭に入ったときに視線が自然に向かう「目的地」のことです。シンボルツリー、石灯籠、水鉢、彫刻など、何でも構いません。重要なのは、フォーカルポイントが一つか二つに絞られていることです。あれもこれも目立たせようとすると、視線が迷って庭全体が落ち着かない印象になります。小さな庭ほど、フォーカルポイントを一つに絞ることが効果的です。
日本の住宅スケールで考える ¶
欧米のランドスケープデザインの教科書は、広大な庭を前提にしていることが多く、日本の住宅外構(多くは10〜30平方メートル)にそのまま当てはめると違和感が出ます。日本の住宅では、スケールを小さく読み替えることが必要です。「大きな樹木」は高さ3〜4mのシンボルツリー一本、「広い芝生エリア」は1.5m×2mのグラウンドカバー帯、というように。小さいスケールでも、三つの原則は同じように機能します。
この三つの原則は、どんな庭のデザインにも繰り返し登場します。次の記事では、これらの原則を実際の外構平面図に当てはめる方法を解説します。学習コンテンツの一覧もあわせてご覧ください。